ひとの顔を憶えるのが極端に苦手だ。

 人間はひとの顔を見分けるとき、過去に遭遇した顔のデータベースからつくられた「平均顔」と比較することで、個人の特徴を見いだして識別しているらしい。つまり、出会った顔のサンプル数が多ければ多いほど、精度の高い識別ができることになる。だとすると、普段あまり他人と会わない生活をしている私が顔を憶えるのが苦手なのは当然のことだし、接客業のひとは、顔を憶えるのが得意なのだろう。アジア人と接する機会の少ない国のひとは、アジア人の区別がつきにくいだろうし、黒人がめずらしい国の人間は、黒人を見分けるのが苦手に違いない。

 たとえば、外国人に遭遇する機会がほとんどない土地に暮らすおばあちゃんに、ウィル・スミスとジェイミー・フォックスとEXILEのネスミスと演歌歌手のジェロの写真を見せて、「どれがジェロでしょう?」と訊ねたら、正解率はかなり低いんじゃないかと思う。かつてそれなりにジェロを応援していた、というおばあちゃんでも間違えるのではないでしょうか。

ジェロと仲間たち
 写真を並べてみたら、あんがい似ていなかった。

 しかしそこにフォレスト・ウィテカーの写真を混ぜたら、「こいつはジェロじゃない」とまっさきに除外されるはずだ。フォレスト・ウィテカーの顔が特徴的であることはもちろんだが、「鶴瓶に似てる……」という感想がまっさきにおばあちゃんの頭に浮かび、ジェロ候補のメンバーから外されるに違いない。

鶴瓶とそっくりさん
 フォレスト・ウィテカーと笑福亭鶴瓶

 少なくとも、鶴瓶に似てる黒人俳優=フォレスト・ウィテカーと記憶しておけば、以後フォレスト・ウィテカーをほかの顔と混同することがなくなる。よく知った顔と結びつけて憶えることが、ひとの顔を記憶するときのポイントなのだろう。ローレンス・フィッシュバーンと山口智充、といったぐあいに。

ぐっさんとそっくりさん
 ローレンス・フィッシュバーンと山口智充

 ところで私はHKT48の指原莉乃さんと女優の平岩紙さんの見分けがつかないのだが、この手の顔の女性たちが暮らす村にホームステイしたら、見分けかたを習得できるようになるんだろうなあと思っています。

【架空の村の住民たち】
指原と仲間たち
 左から指原莉乃・平岩紙・小島麻由美・aiko