トマトと茄子の炒めものを「トマト茄子夫婦炒」というらしい。確かにトマトと茄子は同じナス科の植物ではある。仮に夫婦だと認めてみると、なんとなくトマトが女で茄子が男に思える。トマトは中国では「洋茄子」と書かれることがあるらしいので、どうやら嫁は外国人で国際結婚みたいだ。トマトの原産国は南米だから、ダンスとビーチをこよなく愛するラテン女性を想像する。群馬や山梨でコミュニティを築いているブラジル人のひとりだろうか。

 関西では、焼き豆腐と揚げ豆腐をかつおだしや薄口醤油などで煮たおばんざいを「夫婦炊き」と呼ぶようだ。たぶん同じ豆腐だから夫婦なのだろう。肉体労働で陽に焼けている夫が焼き豆腐、結婚してから脂肪を蓄えてしまった妻が揚げ豆腐じゃないかと思う。それにしても、この料理に味噌汁(それも油揚げの)をつけた日には大豆の摂りすぎですよね。

 また、皮を剥いて厚めの輪切りにした大根を大根おろしで煮た「大根の夫婦煮」なる料理もあるらしい。無水で調理するので水入らず、だから夫婦煮、という舌打ちしたくなるような由来である。夫婦以外だと、鶏肉を卵でとじた「親子丼」、豚肉を卵でとじた「他人丼」、南瓜と大豆を煮た「いとこ煮」あたりが有名か。私はごぼうと豚肉を甘辛く炒めた料理が好きなので、これを「ごぼうと豚肉の同僚炒め」と名付けたい。どういう会社の同僚なのかは考えていない。なんとなく土木系っぽい。IT系でないことは確実だ。ごぼうは現場の技術者、豚肉は接待と対人ストレスで太ってしまった営業職。