2014年3月に映画館で観た映画は、『アナと雪の女王』『愛の渦』『LIFE!』『ラヴレース』『レゴ(R)ムービー』の五作品でした。以下、覚え書き。

『アナと雪の女王』
 ディズニーのミュージカルアニメ。初のダブルヒロインが売りのようだけど、「根暗で抑圧されていて最後まで男に興味なし!」というエポックメイキングなディズニープリンセスが誕生した映画でもある。「天真爛漫でだれとでもすぐ打ち解けられて恋愛脳」な既存のコンサバな善い娘のディズニープリンセスに馴染めない女児にとって、雪の女王=エルサという新しいプリンセスが救いになればいいなあと思う。
 王子さまと結ばれてめでたしめでたし、とは違う結末に着地した今作を観て、同じアンデルセン原作である(といっても今作は原作とはまったくべつの話になっているわけだけどね)『リトル・マーメイド』は、原作をむりやり改変して王子さまとくっつくラストにするのではなく、ほかのしあわせを見つける結末にすべきだったんだ! と感じた。
 いわゆる毒親問題を扱っていた『塔の上のラプンツェル』といい、最近のディズニープリンセスはコンサバを脱却して現代的なテーマを盛り込もうという意図が見えるので、十年後ぐらいには「からだは男の子だけどこころは女の子」なプリンセスが登場すると予想。
 ところで終盤はミュージカルであることを放棄しちゃっているのは、進行スケジュールに問題があったのでしょうか? 天下のディズニーがそんなこと……と思うが、でも終盤にあと三か所は歌が欲しい場面があったんだよなあ。歌の場面はどれもよかっただけに。

『愛の渦』
 乱交パーティに集った男女のひと晩を描いたドラマ。だれもアクションを起こせずに気まずく時間だけが過ぎていく序盤に、「菓子なんてどうでもいいから酒もってこい! 酒! しらふは厳しいだろ!」と思ったが、現実でも薬物使用を疑った警察が乱交現場に踏み込んだら薬物どころか酒すらほとんど見つからなかった、っていう事件があったし、そういうものなのかもしれない。
 ところでせっかくの乱交なのに一対一のプレイしか出てこないのは、マンツーマンが売りの塾かなんかのつもりなんでしょうか? 違うメンバーによる『愛の渦2』をぜひつくってほしいけど、そのときは複数プレイも盛り込んでください! そっちのほうが人間関係の機微の面白いところを引き出せると思うんだよなあ。あと、女子大生のあの子をあいつが独占しているのも、私はたいへん異論がありますね! ラスト、甘い結末になったら厭だなー癪だなーと思いながら観ていたので、違った方向に話が転がって、すっとしました。

『LIFE!』
 ベン・スティラー監督・製作・主演の……なんだろ……人間ドラマ? 少なくともコメディではない。雑誌「LIFE」の写真管理部で働く空想家で冴えない主人公が、あるものをさがして世界に飛び出していく話なのだが、そのかんじんの“あるもの”に対して「ん? そこにあるんじゃない? ちゃんとさがした?」と思っているうちに話がどんどん進み、結局最初に予想したとおりの場所から出てくるので、私がこの主人公だったら開始十分で終わってしまうよ……と思った。だけどアイスランドの風景はうつくしくて魅力的で、行きたくなりました。

『ラヴレース』
『ディープ・スロート』で一世を風靡した伝説のポルノ女優、リンダ・ラヴレースの半生を描いた映画。前半はカトリックの両親と暮らす娘が恋をして家を出てポルノスターになる過程が描かれているが、後半では時間軸が行きつ戻りつし、その陰で夫から振るわれていた暴力のことが暴かれていく。ポルノ女優の話と聞いてエロ目的で観に来た男性客が、後半のDV話で萎えたであろうと想像すると、「ご愁傷様」という気持ちが半分、「ざまーみろ」という気持ちが半分。
 もうちょっとポルノ業界の華やかでいかがわしい部分を見たかったのが本音だけど、引退後に反ポルノの活動家となったリンダ・ラヴレース本人への敬意を込めたつくりになっているのでしょうがないかなあ。本人の自伝をもとにしているので、「たった一本しかポルノには出ていない」という嘘をそのまま採用しているのは、まあ、どうなんでしょう。
 アマンダ・セイフライドはとってもチャーミングだし、ちゃんと脱いでいますよ! 垂れぎみの乳房がナチュラルでプリティ!

『レゴ(R)ムービー』
 ブロック玩具のレゴを題材にした3Dアニメ。炎や波や煙といったエフェクトまですべてレゴでつくられている映像は、とても楽しい。おしごと大王の頭部にマグカップのパーツがついていたりとレゴのパーツひとつひとつに対する愛を感じられるし、さまざまなパロディネタがおなかいっぱいになるほどてんこ盛り。ものづくりはクリエイターだけのものではなく万人に解放されている喜びである、というニコ動賛歌のようなお話だった。終盤の展開を真に受けた子どもがお父さんの鉄道模型を破壊して家庭が大惨事、という事件が起こっていないことを祈ります。
 そうそう、予告編に登場する「いまでしょ!」「じぇじぇじぇ」「お・も・て・な・し」などは本編にいっさい出てきませんので、ご安心を!

 そろそろ春ですね。今回は、新たな季節を彩る猫のためのファッションアイテムをご紹介しましょう。
猫2
 中央線沿線に住むことに憧れている、地方の少女風コーデ。

猫1
 これに赤鉛筆と競馬新聞をプラスすれば、場外馬券売り場でたたずむダンディガイ風ルックに。

猫3
 猫も人間も冷えやすい耳は、ニット帽でガード。

猫4
 頭にカラーレンズ眼鏡を載せる、所ジョージスタイル。

猫5
 60'sな横顔。ボトムはもちろんパンタロンを合わせて。

猫6
 いい加減にしろ! とはたき落とされた。

ドール
 ほんとうは猫用アイテムではなく、家にあったドール小物です。

 満天の星空はうつくしいが圧迫感があって怖い。広大な宇宙がさらに膨張し続けていることを考えると、恐怖でぞわぞわする。それと同じようなことを、私は増殖し続けるプリキュアにも感じる。

 説明するまでもないが、プリキュアは女児向けのテレビアニメシリーズである。毎年キャラクターや設定を一新するのが特徴で、初代プリキュアがあっさり二代めに切り替わったときはけっこう驚いた。2009年からは、歴代の全プリキュアが登場するプリキュアオールスターズ映画が毎年春に公開されている(ちょうどいま、六作めが全国で上映中)。プリキュア増殖の恐怖は、このオールスターズ映画のビジュアルを見てもらうとわかっていただけると思う。

『映画 プリキュアオールスターズDX みんなともだちっ☆奇跡の全員大集合』
映画 プリキュアオールスターズDX みんなともだちっ☆奇跡の全員大集合

『映画 プリキュアオールスターズDX2 希望の光☆レインボージュエルを守れ!』
映画 プリキュアオールスターズDX2 希望の光☆レインボージュエルを守れ!

『映画 プリキュアオールスターズDX3 未来にとどけ! 世界をつなぐ☆虹色の花』
映画 プリキュアオールスターズDX3 未来にとどけ! 世界をつなぐ☆虹色の花

『映画 プリキュアオールスターズNewStage みらいのともだち』
映画 プリキュアオールスターズNewStage みらいのともだち

『映画 プリキュアオールスターズNewStage2 こころのともだち』
映画 プリキュアオールスターズNewStage2 こころのともだち

『映画 プリキュアオールスターズNewStage3 永遠のともだち』
映画 プリキュアオールスターズNewStage3 永遠のともだち

 画像はすべて映画.comより拝借。女児たちの欲望をかきたてる、毒々しいまでにぎらついたカラーリング。星を溜めて輝く、頭蓋骨のサイズに対してあまりにも大きすぎる瞳。初回は「奇跡の全員大集合」だったのに以降は毎年やっていて特別感がなくなっちゃっているのは、卒業後はじめて開いた同窓会が盛り上がり、定例化したようなものだろうか。年々人員が増えていく間違いさがしのようなポスターを眺めていると、わけもなく不安をかきたてられる。もはや現代アートとして成立しているのではないか。

 プリキュアのことを知らずに「二十一世紀のヘンリー・ダーガー(的な人物)による作品です」と言われたらあっさり信じてしまうかもしれない(ヘンリー・ダーガーはペニスの生えた少女たちの叙事詩を描き続けた、いわゆるアウトサイダー・アートの代表格)。もしも十年後にタイムスリップする機会があったら、まっさきに映画館に行って最新作プリキュアオールスターズのポスターを確認したいと思う。